なぜ見落としが起こるのか

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がんの見落としにはさまざまなパターンがある

がんの見落としにはさまざまなパターンがある

ひと言で「見落とし」と言っても、検査結果を適切に読み取れなかった見落とし事例から、適切な検査を行わなかったことが結果として見落としと同じ結果に至ってしまう事例まで、さまざまなパターンがあります。

特に深刻なのは、がんが発見されたにも関わらず、適切な治療を受けられなかったことで患者さんが亡くなってしまうというケースです。その背景には、大病院にありがちな現場の「縦割り構造」があります。どんなに医療が進歩しても、患者さんの情報が共有されなければ意味をなさないということです。

健康診断は万能ではない

がんの見落としが起こりやすいのが、自治体などで集団で行われる「集団健診」「がん検診」です。

集団で行われる健康診断やがん検診は、がんの早期発見が目的の中にはありますが、最初からがんの存在を疑って実施される精密検査とは異なり、確実にがんを見つけようとするものではないということです。

また、大量の画像を短時間で読影しなければならないことや、読影の専門性の高い医師が見るわけではないケースが多いことが特徴として挙げられます。

検診の有効性を示す指標に「感度」がありますが、これは受診者が発症したがんを正確に発見した割合のことです。自治体が実施するがん検診の感度は70~85%前後(※)とされ、それほど高いわけではありません。これは前述のさまざまな要因が背景にあると考えられます。

※参照元:国立研究開発法人 国立がん研究センター「プレスリリース 青森県のがん検診での見落としに関する報道について」より
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2017/0713/index.html

もちろん感度を高めれば見落としは少なくなるでしょう。しかし、がんではないのにがんの疑いがあるとされる「偽陽性」が増えてしまいます。そうなると、やらなくてもいい精密検査を受けたり、不安な日々を送らなければならなかったりとさまざまなマイナス面が出てきます。

がん検診は健康な人を対象とする以上は予防的な側面が大きく、100%の精度を求めるのは現実的ではありません。少なからず見落としが起こることは理解しておくべきです。

CT検査におけるがんの見落としの共通点

数年前に複数の高度医療機関で相次いで発生したのが、CT検査でがんが見つかったのに適切な治療に結びつかない、という事例でした。その中でも、別の病気を詳しく調べるためのCT検査でがんが見つかったという2人の患者さんは、いずれも見落としによって亡くなっています。

現在のCTは以前とは比べ物にならないほど進歩していることに加え、高齢化によってさまざまな病気を抱えている患者さんも多いことから、別の病気を調べる目的で行われた検査でがんが見つかるケースは少なくないのです。

それがどうして見落とされてしまうのでしょうか。その原因が前述の「縦割り構造」、診療科ごとに専門化・細分化が進んでいることの弊害ともいえる状況にあるのです。

大病院におけるCT検査の流れと問題点

ここで大病院における一般的なCT検査の流れを見てみましょう。

まず主治医がCT検査をオーダーしますが、実際に検査を担当するのは放射線科医です。検査報告には「がんの疑いあり」などの所見が書き込まれますが、大病院の検査件数は膨大なため報告書の作成が追いつかず、先に画像データが主治医のもとに届くのです。

主治医は報告書を待たずに画像を見て診断し、すぐ患者さんに説明することが多くあります。主治医はどうしても自分の専門領域、検査の主目的である臓器に注目し、他の臓器に異変がある可能性を見逃してしまう、そして後から届いた報告書も確認せず、結果としてがんの見落としが起きる、といった流れです。

このように、報告書を確認しなかったことでがんを見落とし、治療が遅れたケースは数多く存在します。医療現場の縦割り構造があるからこそ、医師は自分の専門分野以外にも注目し、患者の全身を診るという意識が必要なのです。

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弁護士/医学博士・金﨑氏について

がん見落としへの高い専門性と医療裁判の豊富な実績を持つ弁護士

弁護士法人ALG&Associatesの代表執行役員、東京弁護士会所属。医学博士の学位を保有しており、代表職の傍ら、医療過誤チームを牽引。さらに大学院の医学研究科に在籍し医学の研究を行っています。肺がん、胃がん(スキルス含む)、大腸がん、乳がん等の診断ミスに関する実績を有し、医療訴訟に関する書籍や論文も発表しています。

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「がんの見落とし」を疑っている方々へ金﨑浩之弁護士
医学博士