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【肺がん】人間ドックでの見落とし・訴訟上の和解

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目次

本事例は、下記サイトの情報を参照しています。

※参照元:【本メディア監修】弁護士法人ALG&Associates「癌(がん)・その他の腫瘍の医療過誤 解決事例一覧」
https://www.avance-lg.com/customer_contents/iryou/jirei/gan/gan_jirei12/

事例の要点と結果

人間ドックで肺がんを見落とされた事例

患者さんは平成14年から平成27年まで毎年、相手方のクリニックで人間ドックを受けてきました。ところが2年後に他の病院で胸部のレントゲン検査を受けたところ、肺がんのステージⅣで余命6カ月と宣告されてしまったのです。

患者さんは相手方の責任を問うため弁護士に相談、訴外交渉の結果、損害賠償金4,630万円で和解しています。

経緯

さまざまな策を講じて成立させた和解

弁護士は任意開示によって医療記録を入手、調査の結果、相手方に責任があると判断します。すでに患者さんは余命6カ月の宣告を受けていることもあり、訴訟ではなく訴外交渉を行なうことで短期間での解決を目指す方針としました。そして存命中の解決がかなわなかった場合に備え、公正証書遺言(※2)も作成されています。

通常は訴訟で初めて提出する「顕名意見書(※3)」を証拠として交渉の場で呈示したほか、医療記録の開示に応じない後医に対して難易度の高い「第三者に対する証拠保全(※1)の申立て」を行なうなど、さまざまな策を講じて交渉を進めました。その結果、初回相談から約2年で和解が成立、損害賠償金4,630万円を獲得したのです。なお、残念ながら患者さんは交渉中に肺がんのため亡くなられています。

争点

異常を指摘する注意義務を果たさなかった医師の責任

患者側の主張は、相手方のクリニックの医師が遅くとも平成25年の時点で胸部のレントゲンの異常を指摘していれば、肺がんがステージⅣまで進行することはなかったということです。その当時はステージ1だったと推定され、実際にクリニックで撮影されたレントゲン画像には肺がんを疑わせる異常陰影が認められました。

そこで相手方クリニックに対し、医師が異常を指摘する注意義務を果たさなかったことによる債務不履行責任、不法行為責任(使用者責任)を追及、損害賠償金の支払いを求めたのです。

用語解説
  • (※1)証拠保全
    …医療機関が保管している医療記録の改ざんを防ぐため、訴訟や示談交渉の前に裁判所に申し立て、医療記録を現状のままで記録する手続きを指します。具体的には弁護士と裁判官が現地を訪問し、写真撮影等によって医療記録の現状を記録します。証拠保全が行なわれることは、原則として医療機関には当日直前まで知らされません。
  • (※2)公正証書遺言
    …自分で書く遺言とは違い、公証役場で公証人が作成する遺言のことです。2人以上の証人立ち合いのもとで作成され、本人の署名と押印を要するため、自筆の遺言のように無効になるリスクが低いという特徴があります。
  • (※3)顕名意見書
    …医療訴訟における顕名意見書とは、原告に行なわれた医療行為が適切だったかどうかを専門医が検証して署名・捺印した書類のことで、私的鑑定意見書とも呼ばれます。
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弁護士/医学博士・金﨑氏について

がん見落としへの高い専門性と医療裁判の豊富な実績を持つ弁護士

弁護士法人ALG&Associatesの代表執行役員、東京弁護士会所属。医学博士の学位を保有しており、代表職の傍ら、医療過誤チームを牽引。さらに大学院の医学研究科に在籍し医学の研究を行っています。肺がん、胃がん(スキルス含む)、大腸がん、乳がん等の診断ミスに関する実績を有し、医療訴訟に関する書籍や論文も発表しています。

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「がんの見落とし」を疑っている方々へ金﨑浩之弁護士
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