裁判までにすべきこと・訴訟の条件
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医療裁判までに何をしたらいい?
医療過誤を疑うような事態に直面した場合は、まず、できる限りの資料を集める必要があります。裁判になった場合、できる限り多くの資料を証拠として提出できれば、有利に主張を展開できる可能性があるからです。
ただ、医療行為に関わる専門的な資料は、医療機関や医師の下にあることが多く、これを確保するにはさまざまな法的手続きを活用する必要も出てきます。十分な資料収集のためには、まずはできるだけ早く弁護士に相談することが重要です。
どんな資料も武器になる
手元のメモは捨てないで
病気やけがをして病院を受診した患者に対して、通常は医師から診断や治療方針の説明があります。この内容をメモしていた場合はすべて確保しておきましょう。説明のために医師が描いた図や、スマホで撮った画像なども大事な証拠です。医療過誤を疑った時点で改めて説明を受けるというのも大事なことですが、その説明内容の記録も役立ちます。
さらに、医療過誤を疑った時点で、すぐに治療経過を思い出し、書き出しておきます。記憶はすぐに薄れてしまいますので、何らかの疑問を感じた時点で、自分が経験したことを文章やメモとして書いておくことをお薦めします。
ここで書き残しておくべきなのは、医師の治療を受けるまでの経過と治療内容、医師の説明内容や病状・症状の推移、医療過誤を疑ったきっかけと具体的な内容などです。そのほか、気になったことは何でも記録し、作成日も書いておきましょう。
開示請求は弁護士に依頼を
患者や家族が残したメモがあっても、裁判になった際に重視されるのは、やはりカルテや画像といった診療の記録や情報です。しかし、患者本人でも入手するのは簡単ではありません。
まず患者本人でできるのが、病院が保管している診療記録などの閲覧や謄写を求めるカルテ開示請求です。ただ、患者自身で請求すると、後になって足りない資料があることに気付く場合があります。裁判を起こすことも視野に入れている場合は、弁護士に依頼するのが得策です。
病院が任意の開示に応じない場合に使うのが、法律上の手続きである証拠保全です。特にカルテが改ざんされる可能性がある場合は、早めに弁護士に相談して証拠保全をすべきです。
裁判はいつまでできるのか
損害や加害者を知ったときから5年
資料収集にいつまでも時間をかけていられるわけではありません。裁判を起こすことができる期間には制限があります。これを時効といいます。
医療過誤による訴訟を起こす場合、追及する法的責任は「不法行為」と「債務不履行」に大別されます。不法行為は医療行為そのものに問題があった場合、債務不履行は診療契約で定められた適切な医療行為がされなかった場合を指します。
人の生命や身体を害する不法行為や債務不履行の時効は、損害や加害者を知ったときから5年、あるいは行為があったときから20年と民法で規定されています。つまり、早ければ5年で裁判を起こせなくなってしまう可能性があり、資料収集などの準備期間を考えれば、弁護士への相談は早ければ早いほうが良いということになります。
書類保管期限はもっと短い
病院が診療記録をいつまでも保管しているわけではない点にも注意が必要です。
医師法は、カルテなどの診療録について5年間の保存義務を規定しています。また、カルテ以外の諸記録の保存義務は3年となっており、これには画像の記録なども含まれます。
こうしたことから、裁判を前提とする場合は、なおさら早い対応が求められるのです。
早い相談が有効です
裁判を起こすことも念頭に医療過誤に対応する場合、迅速に資料収集に着手することが重要です。裁判で望んだ結果を得るためには、できる限り早く弁護士に相談し、資料収集に着手しましょう。
がん見落としへの高い専門性と医療裁判の豊富な実績を持つ弁護士
弁護士法人ALG&Associatesの代表執行役員、東京弁護士会所属。医学博士の学位を保有しており、代表職の傍ら、医療過誤チームを牽引。さらに大学院の医学研究科に在籍し医学の研究を行っています。肺がん、胃がん(スキルス含む)、大腸がん、乳がん等の診断ミスに関する実績を有し、医療訴訟に関する書籍や論文も発表しています。