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【悪性リンパ腫】胆石除去手術前のX線検査での見落とし・訴訟上の和解

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目次

本事例は、下記サイトの情報を参照しています。

※参照元:【本メディア監修】弁護士法人ALG&Associates「癌(がん)・その他の腫瘍の医療過誤 解決事例一覧」
https://www.avance-lg.com/customer_contents/iryou/jirei/gan/gan_jirei02/

事例の要点と結果

胆石手術前の検査で悪性リンパ腫を見落とし

腹痛を訴えて病院で検査を受けた患者さんに、胆嚢や胆管の胆石が見つかりました。その手術は成功しましたが、1年後に自治体の健康診断でCT検査を受けたところ、空腸付近に直径約14cmの腫瘤所見が確認されたのです。それは悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(※1))でした。

腫瘤の一部を切り取る姑息的手術(※2)が行なわれましたが経過は思わしくなく、患者さんは診断からわずか3カ月後に亡くなってしまったのです。

悪性リンパ腫は胆石の手術前から存在していた疑いが強いことが問題となり、手術前に撮影されたX線写真を確認したところ、最大径約10cmの腫瘤陰影が認められました。

そして、この異常所見の見落としを相手方病院の過失として提訴に至ります。本事例は、最終的に3,000万円で訴訟上の和解が成立しました。

経緯

見落としが大きな陰影だったことが高額和解に

本事例における初回検査は、確かにがんのスクリーニングを目的に実施されたわけではありません。とはいえ、最大径が約10cmにも及ぶ大きな陰影に気づくことは決して困難ではないはずです。そこで患者側は相手方病院の過失を論じていく方針としました。

提訴してから約1年後、相手方病院が患者側に3,000万円を支払うという条件の和解が成立していますが、前述のとおり見落とされた異常が大きな陰影だったことが高額な和解につながったと思われます。

また、患者さんの悪性リンパ腫は悪性度が中等度とされ、化学療法の効果も高いというデータがあったため、もし見落としがなければ長期生存の可能性も高かったことが考慮されているでしょう。

争点

スクリーニング検査であっても見落としは過失

本事例の大きな争点は、手術前のX線画像に認められる異常所見の見落としが相手方病院の過失となるか否かでした。そもそもこのX線検査は手術前の評価を目的に実施された検査に過ぎず、がんを疑って行なわれたスクリーニング検査(※3)ではないからです。

患者さんからしてみれば、異常がある以上、見落としは問題だと考えるかもしれませんが、画像の読影はそれほど単純なものではなく、検査目的に大きく影響されてしまうのです。

しかし、本事例では見落とされた異常所見が最大径約10cmという大きな陰影だったことが決め手になっています。いくらスクリーニング検査ではないとはいえ、これを見落とすのは過失だと判断されたということです。

用語解説
  • (※1)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
    白血球の一種であるリンパ球の中でも、Bリンパ球ががん化することで発症する悪性リンパ腫です。進行が早い反面、化学療法の効果は高いと考えられています。
  • (※2)姑息的手術
    根治を目的とした手術ではなく、症状の一次的改善や根治手術を行なうための条件を整えるために行なわれる手術のことです。
  • (※3)スクリーニング検査
    治療のために行なう検査ではなく、病気を見つけるために行なう検査の総称です。胃がん検診のX線検査や大腸がん検診の便潜血検査などが該当します。
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弁護士/医学博士・金﨑氏について

がん見落としへの高い専門性と医療裁判の豊富な実績を持つ弁護士

弁護士法人ALG&Associatesの代表執行役員、東京弁護士会所属。医学博士の学位を保有しており、代表職の傍ら、医療過誤チームを牽引。さらに大学院の医学研究科に在籍し医学の研究を行っています。肺がん、胃がん(スキルス含む)、大腸がん、乳がん等の診断ミスに関する実績を有し、医療訴訟に関する書籍や論文も発表しています。

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