X線検査（レンドゲン）
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X線検査（レントゲン検査）の目的と検査方法
俗にいうレントゲン検査のことで、広く行われています。病変を調べるのが目的で、がんの場合、有無や形状を調べることが可能です。
健康診断における胸部X線検査では、オーソドックスな検査となっており、受診者が多いのが特徴。肺結核、肺炎・気管支炎などの肺の炎症、肺気腫・気胸・胸膜炎・肺線維症・心臓病・心肥大・胸部大動脈瘤などの病気を発見する手がかりとなります。
さまざまな検査の中でも最初に行われることが多く、特に肺がんを疑う場合の第一選択肢ともいえる検査です。
一方向からX線を身体に照射すると、体内を通過したX線の差が濃淡の影となってモノクロの画像になります。これは骨や水分、脂肪など身体の組織によって、X線の通りやすさが異なるためです。
消化管や尿路系のX線検査では、病変をわかりやすくするために造影剤を使用することもあります。
検査のメリット・デメリット（長所と弱点）
撮影時間が短く、すぐに画像を確認できることや被ばく量が少ないこともX線検査のメリットです。特にがん検診では精密検査を受けるきっかけにもなり、有効な検査法だと考えられます。
しかし、X線検査は一方向からしか画像にできないため臓器が重なってしまい、CT検査やMRI検査に比べると正確な診断ができない場合もあります。
胸部、腹部など、X線検査でわかるがん
肺がん検診では胸部X線検査、胃がん検診では腹部X線検査（バリウム検査）を行います。かなり進行したケースでない限り、がんと判断することは難しいのですが、精密検査を受けるためのきっかけとしては有効な検査と言えます。
見落とす可能性（どんな場合に見落としやすいのか）
肺がんの診断を目的として胸部X線検査を行う場合は、一般的に正面と側面の2方向から撮影します。しかし胸部は臓器や骨が密集しており、肺だけではなく心臓や太い血管、肋骨などが重なって写るため、特に小さいがんは正常組織と重なって見つけられない可能性があります。さらに肺がんは骨や心臓、血管と同じように白く写るため、X線写真では検出・診断できないケースも少なくないのです。
また、バリウム検査も初期の胃がんや食道がんを見落とす可能性があります。バリウム検査は立体である胃を平面のモノクロ画像で見ていますが、これでわかるのは粘膜の凹凸だけです。初期の胃がんや食道がんは粘膜の微妙な色の違いで発見できますが、粘膜の凹凸を手がかりに見つけるのは非常に困難です。
乳がん検診で行われるマンモグラフィもX線検査の一種ですが、乳房の中に乳腺が多いと全体に白っぽく写ってしまい、乳がんが見つかりにくいといわれています。
見落としの事例
X線検査でのがんの見落としには、以下のような事例があります。
- 毎年受けていた健康診断の胸部X線検査で肺がんを見落とされ、他院で受けた胸部X線検査で肺がんと診断、すでにステージⅣまで進行していた。
- 胆石の手術前に受けた腹部X線検査に悪性リンパ腫が写っていたのを見落とされ、1年後の検査で判明、治療開始が遅れたため長期生存の可能性が失われた。
▼以下の関連記事から見落とし事例の詳細が読めます。
【このページの参考文献】
・（書籍）『国立がん研究センターの正しいがん検診』中山 富雄 監修（小学館）
・国立研究開発法人国立がん研究センター「がん情報サービス」（https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/x-ray.html）
・日本医師会公式サイト「知っておきたいがん検診」（https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/what/type/）
・日本医師会公式サイト「がん検診による発見データ」（https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/data/detection/）
がん見落としへの高い専門性と医療裁判の豊富な実績を持つ弁護士
弁護士法人ALG&Associatesの代表執行役員、東京弁護士会所属。医学博士の学位を保有しており、代表職の傍ら、医療過誤チームを牽引。さらに大学院の医学研究科に在籍し医学の研究を行っています。肺がん、胃がん（スキルス含む）、大腸がん、乳がん等の診断ミスに関する実績を有し、医療訴訟に関する書籍や論文も発表しています。
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